この度、5月より 「 かしのき園第一作業班 」にお世話になりました山田智明です。
姫路養護学校高等部卒業後(現在・特別支援学校)15年6ヶ月間、家から徒歩5〜6分と恵まれた場所にある 「 おしぼり」
会社に勤めていました。
15年余りの間、就労と云う道を歩んで来ましたが、けっして軽度ではありません。
自分の名前がやっと書ける程度の重度の 「 ダウン症 」なのです。
高等部卒業時の2〜3日しか続かないと言われながらにも、重度の智昭でも厳しい労働条件にも耐え、地域の中で働き
ながら喜びを感じたのも本人の努力はもちろん、企業側の温かい理解と従業員の皆様のお蔭だと感謝の気持ちでいっぱ
いでした。
そんな折、昨年の8月、会社に思いも寄らない事態が起こったのです。
会社の経営者が代わり新しい社長が就任されるや5名の障碍者が解雇となってしまったのです。
会社存続の為にはやむ得ない措置だったのかも知れませんが、解雇された子供達全員15〜30年勤めたにも関わらず
「 永い間ご苦労様でした 」の一言の言葉もなく、突然の解雇であまりにも卑劣なやり方に憤りを感じたのです。この時、改
めて現実の厳しさを知ることができました。

解雇となれば当然在宅生活が始まり、すぐ福祉課を訪れ事情を説明し、受給者証の申請から始まり、施設希望(ルネス
関係)を話しますと、いつ入れるか分からないとの返答・・・ 相談室を訪れてもルネス関係はなかなか入れず難しいとの
こと、それでも見学の日程を調整、園長先生との話し合いの場を設定していただき、力を貸していただきました。
6ヶ月間の在宅期間中、何度か福祉課を訪れましたが「 いつも調整中、いつ入れるか分からない 」まるで出口のないトン
ネルに入ってしまった感じで情けなく、高等部卒業時の進路選択が施設の方が良かったのではないか??? と私自身
を責める日続いたのです。
また、就労を目指し頑張り続けた子供達が在宅となった時のケア一体制のなさの腹ただしさと、親が堪えず動かなければ
ならない辛ささ・・・ ましてや重度となれば何処に行くにも連れて回り、私達さえも自由のない生活にくたびれてしまったの
も事実ですが、近くの友達によく「 食事に行こう 」と誘っていただき一緒に家族でいろんな所に行き楽しんだ日々がありま
した。こうして友達に支えられ計り知れないほどの仲間の大切さを実感しました。
そうこうしている内にも、4月下旬に実習可能という明るい知らせを聞き相談員に話しますと、まだルネス三園は難しい
・・・ 措置から施設契約へと移行されたにも関わらず一体どこに権限があるのか分からず、振り回された日々にどうして
もルネスで働きたいと言っていた智昭が「 ぼく、もうどこでもいいわ 」と一番傷がついたのが本人だったかも知れません。
その時、なぜ行政、施設、相談員等の連携がとれていないのか疑問に思いました。
そして、私もルネス関係は半ば諦めていた矢先に実習と言う報告を受け、5日間の実習期間を終え5月連休明けより
「 かしのき園 」に契約することができました。
こうして新しく園生活がスタートし、心配していた自力通園、作業も徐々に慣れ作業内容もこれまで関わってきた同じ
「 おしぼり 」に接し、職員、お友達にも恵まれ楽しく通園している姿に嬉しく毎日が過ぎていきます。
近年福祉施策も変わり、自立支援法の廃止から障害者総合福祉法 
へと移行しつつあります。
また、平成24年度からは当園も新体系へと移行を決定付されて
いるようですが名称だけのかけ違いのないよう、施設職員、親も
利用者、我が子をしっかり見極め一人ひとりの利用者を適正な場
で指導していただき、働くことにより余暇も楽しみ働く喜びを持た
せてほしいと思います。
これからは一般就労という道はとても厳しいと思いますが、今まで培って
きた仕事に対する意欲を維持し、これまで経験できなかった社会経験、対人関係、宿泊訓練などを身につけ自立して
いってほしいと願っています。
私もしばらくの間、遠ざかっていた福祉関係に家族会を通じ、今後我が子の歩む道を模索していきたいと思っています。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
2010年
滝子
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